その一方で、プライベート・チームを維持するには莫大な資金を要する。
晶夫のもうひとつの顔は、恋のライダー即ち “ジゴロ”
であった。天性の美貌と強靭な肉体、そして華麗なセックス・テクニック。これらが、栄光へと昇りつめていくための晶夫の大きな武器なのだ。
その昌夫のスポンサーとして、すでに国際的なデザイナーである斎藤京子の存在があったが、新たに財閥の令嬢・御木本菜穂子が晶夫に近づき、晶夫は彼女を確実にモノにして新たなスポンサーを得る。
しかし、世界を狙うにはさらに膨大な資金が必要となる。昌夫は折から来日したクリスティーン・アダムスに的をしぼった。10億ドルの遺産を父親から相続し、国際的なコングロマリットのオーナーである彼女のことは、ヨーロッパにいた頃からすでに知っていたのである。
晶夫はパーティでクリスティーンと再会し、その晶夫の華麗なる誘惑に難攻不落を思わせたクリスティーンも陥落、10万ドルの小切手をモノにする。
恋のライディングは着々と成果をあげたが、肝心のマシーンの性能アップは思うように進んでいなかった。メカニックの雨宮が女の事で作業をスッポかしていたからである。
晶夫は雨宮を解雇し、この時から緒方と共に徹夜で自らマシーンのチューンナップに取り組み、そして妥協をゆるさぬ孤独な鍛錬をくり返していった。
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